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viewポイント1

私は飽きてもうやめてしまったけど、友紀はピアノを弾いているときが一番楽しいといって時間さえあれば練習し、もう六年にもなる。

努力によって磨かれた少年の音色は人々の朝に新鮮さと規律を与えてくれる。

私はいつも、この音色が世界中へと駆け出し、朝を迎える全ての人に届けばいいのにと願っている。

 もし、最後まで友紀のピアノを聞くことができたなら私はいつも通り学校へ行けた気がしたけど、
演奏を中断し、友紀は学校へ行ってしまった。

私はパジャマ代わりにしている白のスウェットのまま一階へ下り、朝食をとっている父に言った。

「父さん、今日は学校休もうと思う。」

「どうした、どこか具合でも悪いか?」

私は首をゆっくり横に振った。しばらく黙り込んでから父は低い声で言った。

viewポイント2

「夏希、お前まだあのこと気にしてるのか。新しいのを買ってやるって言っただろ。」

そう言われて私は父と四角いテーブルを挟み、俯いて朝食を食べようとしたけれど、
ご飯はまったく喉を通らない。私は箸を置き父に言った。

「奴らが私を狙ってやったならいいんだ。いたずらで私個人に対する嫌がらせならね。」

「何言ってるんだ、夏希。」

「いじめならまだ救われてる。いじめたいだけいじめてもらって結構。それで奴らの気が済むなら私は犠牲になる。」

「誰もおっかなくてお前のことをいじめたりしないだろ。父さんにはよく分からんな。金がないからやったんだろ。

まあ、清濁併せ呑むともいうし。仕方ない。気にするな。」


「そんな単純な動機じゃないよ。金がない奴なんて聞いたことないし、見逃すなんてできないよ。

奴らは楽しんでやってるわけでもなく、パラノイドだよ、パラノイド。イカレてるんだ。

これがもし自分の欲求を満たしたいだけで無差別的な犯行だとしたら手の施しようもない。ジ・エンド。」

「でもお前の高校はこの辺で優秀なほうだろ。なんでそんな気違いがいるんだ。」

「学校の勉強や偏差値とは関係ないよ。

やばいマンガとかゲームのしすぎでこっちの世界とあっちが分かんなくなってんの。

自分の陣地を広めてってさ、変なビームを出してどんどん強くなってく。

それでその世界の王になろうとしてる。
妄想の世界に入り浸ってこっちの世界じゃまともに生きようなんて考えてないんだよ。」

「朝から難しい話するな。ほら、ちゃんと食え。」

「はい。」

父にこれ以上言って悩ませたくなかったから、私は大人しくご飯を口にした。

玄関の戸さえ閉めない環境で育った父に分かるはずもない。

何度も口の中で米粒を噛み潰していると先週の金曜にあった学校での屈辱を思い出した。